ご 挨 拶
令和4年4月
院長 近藤 彰

COVID19の収束に向けて
新型コロナ感染は2019年10月の感染発現から第6波2022年4月まで、人類社会に甚大な災害をもたらしています。私たちが今後のパンデミックの収束を見通すことができるのは、かかりつけの患者・家族の皆さまが当院の感染対策に対してご理解とご協力いただいているおかげです。深く感謝するとともに引き続いての感染対策にご協力をお願いします。
2020年1月より、近藤内科病院は「かかりつけ医」として新型コロナ感染に対して、予防・診断・治療・在宅療養サポートに取り組んでまいりました。その取り組みは、ワクチン接種会場を設営し約10,000回のワクチン接種を行うことで感染予防に努め、PCR検査・抗原検査を用いての迅速な診断、コロナ内服薬の処方、さらにはオンライン診療による在宅サポート行ってきました。その結果、当院で診断したCOVID19感染の97歳から11歳までの患者さん約400名全員が無事治癒しています。
緩和ケア病棟を併設している当院では厳しい感染対策が求められました。緩和ケア対象の患者さんの多くはワクチン接種を受けられないため、ご家族の病棟内への立ち入りを厳しく制限いたしました。このため人生の最期に家族の看病もかなわぬという不条理な事態になり、患者・家族の皆さまが苦しみ、同じくスタッフも苦しい時間を経験してきました。しかし今は、PCR検査などを積極的に取り入れ、最期の時間のご家族の付き添いが可能になりました。テレビでの面会やホスピスガーデンのガラス越し面会など様々な工夫により、不条理な状態の解消が進みました。
今後、米国CDCセンターが予想している第7波・第8波が到来しても、医学の進歩を取り入れている現在のシステム改良と皆さまのご理解・協力により、このパンデミックを乗り越えることができると確信しています。
ポストコロナの新規事業
コロナ禍、当院はトータルケア(全人的ケア)を念頭にチーム医療の充実をはかってきました。それはトータルケアを全職種で行うことであり、今後さらなるケアの質の向上を目指します。
ポストコロナの新しい展開についてご紹介いたします。
1)アルツハイマー型認知症
急増しているアルツハイマー型認知症の早期診断・治療・ケアが今後の大きな
目標です。早期診断のために、最新のMRIの導入し、血液バイオマーカーであ
るβ―アミロイド検査等を開始します。将来の治療については、徳島大学神経
内科学教室と共同して進めていきます。
2)関節痛・腰痛によるサルコペニア・フレイル
整形外科医と共同して、高齢者のQOLをそこなう関節痛・腰痛に対してはMRI
を導入し的確な診断を行い、治療方針を決めます。またデイケアを新設し運動
機能回復のリハビリテーションの充実を図ります。
3)糖尿病とサルコペニア
最近の糖尿病薬剤の進歩は目覚ましく、失明や人工透析を受ける患者さんは激
減しました。その一方、糖尿病患者さんの高齢化によるサルコペニア支援が求
められます。長生きできる糖尿病患者のサルコペニアの対策が必要です。
当院では「女性のミカタプロジェクト」を通してサルコペニア対策を行ってき
ました。今後、糖尿病の患者さんに対してもサルコペニア・フレイル対策を進
めていきます。
4)心血管疾患における心不全リハビリテーション
目覚ましいインターベンション・アブレーション・TAVI等の心臓治療技術の
進歩により、心血管患者さんは救命され長く生きられる時代です。心血管患者
さんのQOLの改善と維持のために心血管リハビリテーションが必要となりま
す。心疾患患者さんのQOL改善のためには心臓リハビリテーションが大きな
役割を担います。当院では、循環器科専門医が中心に新しく心臓リハビリテー
ションに取り組みたいと思います。
緩和ケア病棟(ホスピス徳島)開設20年
緩和ケア病棟開設20年を迎えました。改めて当院の緩和ケアを信頼していただいた多くの患者・家族の皆さまに感謝しています。2500人を越える癌末期患者さんのケアを通して、学んだことは「ケアは相互性」であることと緩和ケアの根幹は「トータルケア」であることです。
コロナ禍で、私たちは「トータルケア」の重要ことを再認識しました。具体的には歩くこと、食べること、排泄すること等の日常生活での基本的事柄を維持するため、多職種が協同して取り組みケアを進化させることです。
緩和ケアの次の10年の目標は、①緩和ケアの対象をがん以外の疾患にも拡大すること、②緩和ケアの提供を病院から地域社会に広げることです。
当院では、従来にも増して医学の進歩を積極的に日常診療に取り入れることで、患者さんと一緒に恩恵を享受すること、そして皆さまと共に地域社会の進歩に貢献してまいります。
診療部部長 米田 和夫

ご挨拶
開院38年余の長い歴史と地域で厚い信頼をもつ近藤内科病院に2022年4月より勤務させていただいています。近藤内科病院が立地する西新浜は、学生時代にヴィレッジ・カキハラに幾度となく買い物に来た記憶があります。また家庭を持ち子供が小さいときには、スーパーセンターマルナカが徳島県内では大型商業施設の先駆けとして開業し、子供を連れてよく遊びに来ており決して見ず知らずの土地ではありません。その道中で目に入る近藤内科病院は、2002年4月に現在の場所に移転した際に徳島県内初の緩和ケア病棟を併設し、建物の斬新さだけでなく先進的な医療提供を行う医療機関として心に留まる病院でした。
徳島県立中央病院、阿南医療センターではおもに肺癌などの呼吸器診療とリウマチ診療に携わってきました。このたび医局人事としてこれまでの経験も生かして、また新たなチャレンジもできるのではないかとお勧めいただき近藤内科病院に勤務することとなりましたのも、なにか不思議な縁に導かれたのかなと感じています。
新型コロナウイルス感染症患者が2020年1月に日本国内で初めての発生以降、2022年6月現在まで第6波の流行期を経て、感染力は強いが重症化する例は少ないとされるものの、今後終息する見通しも不透明です。新型コロナウイルス感染症のため医療に限らず社会生活もなにもかもが混乱停滞しましたが、この2年間で病院内での感染症対策は特別な対応が当たり前となり整備されてきました。この体制を保ちつつ、あらたに医療提供内容を充実させる時期が来ています。近藤彰理事長よりその柱として、認知症に関する医療の質の充実、近年の高齢化社会において急増する心不全に対する心臓リハビリテーションが明示されました。私が注力してまいりました呼吸器診療、リウマチ診療に加え、認知症、心臓リハビリテーションに関する医療にも取り組んで、地域の皆様の健康管理、健康増進のお役に立ちたいと思います。よろしくお願いいたします。